伝熱解析における塗料モデル化の必要有無

特定派遣の機械設計として働く私は仕事の関係上、伝熱解析に携わることがあります。
と言いましても、私自身が解析を回すことはなく条件などを設定するのみで、実作業は解析業者に発注しています。

今は熱源から伝わる温度がどのように周りに伝熱するかを伝熱解析で見ています。
そんなある日、他課の人からこんな問い合わせを受けました。

「伝熱解析モデルに塗料の影響は考慮していますか?」

私はありのまま事実として「伝熱解析モデルに塗料は考慮されていません」と回答したのですが、ふと本当に考えなくていいのか疑問に思いました。

確かに伝熱解析対象部は塗装されています。
塗料にも当然熱の影響があるはずなので、伝熱解析に塗料の影響を考えた方がいいのではないか?
今まで塗料を考えずに伝熱解析するのが当然になっていたので、考えたこともありませんでした。

有識者に聞くと、「塗料の膜厚はすごく薄いので、モデル化しなくても伝熱解析には影響ない」とのことでした。が、聞くだけでなく自分でも調べてみました。

今回は伝熱解析における塗料モデル化の必要有無について、本当にモデル化しなくても伝熱解析に影響ないのか、自分なりに調べた結果をまとめます。

伝熱解析とは?



まずはそもそも伝熱解析とは何かを調べてみました。
今まで気づけば仕事で携わるようになり、なんとなくで作業して理解してるのみで、しっかり勉強していたわけではないので、いい機会になりました。

伝熱解析とは書いて字の如く。熱がどのように伝わるのか、モデル化して解析することによって計算することです。

伝熱には固体中の伝熱、空冷や液冷と言った強制対流による固体から液体への伝熱、真空中の伝熱などがあります。
伝熱解析は対象の製品をモデル化し、上記のような与えられた条件の下、どのように熱が伝わるか計算します。

<参考HP>
伝熱解析の基礎「熱の伝達」を知ろう(CAD Japan.com)


なぜ伝熱解析が必要になるのか?



ちなみになぜ伝熱解析が必要になるのか?

ほとんどの機械は作動させれば熱を発します。
その熱源が摩擦によるものだったり、電気的なものだったり、爆発や燃焼によるものだったり様々です。

機械に使われる材料や機器には許容できる温度が決まっていて、発生した熱がこの許容温度を超えてしまうと大問題です。

そこで製品をモデル化し、伝熱解析により許容温度を満足するか確認することになります。


伝熱解析と熱伝導率



伝熱解析はどんな計算式なのか調べたところ、熱伝導率に基づくものであることを確認しました。

熱伝導率とは物質の中をどれだけ熱が伝わりやすいか、その指標を示したものです。

熱伝導率k[W/(m・K)]は、下記計算式により算出されます。

k = Q・L/(A・(TA-TB))

ここで、各文字の意味は下記の通りです。
Q[W] :伝熱量(単位時間あたりに伝わる熱量)
L[m] :物体の長さ
A[m2] : 物体の断面積
TA[℃] : 高温側の温度
TB[℃] : 低温側の温度
熱伝導.jpg

<参考HP>
熱伝導率の計算(CYBERNET)


伝熱解析で塗料モデル化が必要なり理由は?



さて、本題に入ります。
なぜ塗料を伝熱解析でモデル化する必要がないのでしょうか?

先に書いた計算式を見ると、物体の長さLは熱伝導率kに対し比例の関係にあります。
つまりLが大きければ熱伝導率kは大きくなり、逆にLが小さければ熱伝導率kも小さくなります。

塗料においては、この物体の長さLが塗料の膜厚になると考えられます。

熱伝導(塗料).jpg

塗料の膜厚は大体μ単位になるので、Lの長さはμ単位の極端に小さい値になります。
(例として下記参考HPを載せます。)
そうすると、熱の伝わりやすさを示す熱伝導率kもLに比例し極端に小さくなります。
(塗料の熱伝導率はどれぐらいかも下記参考HPを例として載せます。)

塗料の熱伝導率kは膜厚を考慮すると、極端に小さい値になるため、塗料が伝熱解析に与える影響は小さい。
よって塗料は伝熱解析においてモデル化が必要ない。と言うことでは考えます。

<参考HP>
塗装標準膜厚
NTダンネツベース/NTダンネツコート(日本特殊塗料株式会社)


伝熱解析における塗料の影響を自分なりに考察して



今回は伝熱解析における塗料モデル化の影響を自分なりに考えてみた結果をまとめました。

誰かに確認したわけでもなく、どこかに載っていたわけでもないので、正直合っているかわかりません。
おそらくこの考えではないか、と言うレベルです。

機械設計を10年近くやった特定派遣30歳過ぎのいいおじさんですが、まだまだ学ぶことばかりです。
自分の知識の少なさに改めて自覚させられました。

今回は勉強をするいい機会だったと思います。
これからも引き続き慢心することなく、日々精進していきます!

ちなみに、もしこの記事を読んで間違いを見つけたり、違う意見があればどんどんコメント欄にご記入頂ければと思います。
勉強させて頂きます。


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